2014年1月から10回にわたって放映されたドラマ。
一生さんが33歳の時の作品です。
10歳からキャリアを積んで23年目、
さすがの演技力です。
映画で共演したことのある蒼井優、川口春奈の二人の人気女優に、
「一生さんは職人ですね」
と言わしめた洗練された演技はこのドラマでも発揮されてます。
見ている私たちを画面に釘付けにしてしまうリアルな動きや表情、
姿が映っていなくても引き付けられてしまう声。
コメディタッチの人情物、定時制高校を舞台にした「夜のせんせい」の、
一生さんのお芝居の見どころをご紹介します。
高橋一生 ホストになり切れないホスト役を演じる
クラスメイトが屋上から飛び降りようとしてるのを止めようとする時の
「あいつ、なにやってんだ、馬鹿な真似はやめろ」と言わんばかりの焦った顔。
やめさせようと力を込めて走り出そうとする時、小刻みに震えてる体、ひきつった顔は、
助けなくてはならないという必死さが伝わってきます。
友達が不良グループにいじめられようとしているのを見つけたとき、
リーゼントでテカテカのシルバーのスーツに赤シャツといういでたち。
ポケットに手を突っ込み肩で風を切り、
ちょっと前のめりで威嚇して、
上ずった高い声で相手を脅す様子は、
コミカルで友情にあふれています。
高橋一生が演じるホストにスポットを当てる第6話
一生さんは1話~10話まで出ていて、
いぶし銀のようなお芝居を見せてくれていますが、
見どころは一生さん演じるホストの山田一郎にスポットを当てた第6話です。
かつてはナンバーワンホストだったが今は最下位。
焦って売り上げを上げようとして、
クラスメイトの主婦をだまして掛けで高価なお酒を注文させ続けていることが、
クラスのみんなにバレてしまいます。
そのことを責められてもなぜか反抗せずうつろな目で遠くをみる表情は、
「情けない、なんてことをしようとしてたんだ、
母ちゃんに顔向けできない」
そんな思いが溢れています。
眉毛を右側だけ八の字にして、
上目使いで相手のことをしっかり見て本当のことを伝えるシーンは、
相手を傷つけてしまうことが申し訳ない辛い気持ちがじわじわと伝わります。
「ビッグになる」と思ってギラギラしていた眼が、
弱弱しくなり焦点が合わなくなって、
ついに、
店を持とうと思って目星をつけていた貸店舗のチラシをびりびりに破ってしまう。
「くっそー、あきらめるよ
あきらめればいいんだろう」
と言わんばかりでした。
その悔しそうな表情の中にも口元の柔らかさや頬骨のゆるみで、
ホットした気持ちが隠れているのがわかります。
一生さんは顔の筋肉がよく動きます。
表情筋を自由自在にあやつるお芝居は、
見ている私たちを物語の深みに誘ってくれます。