ビシッとスーツを着こなした一生さん(中身は望月刑事)は後ろから見ると間違いなくかっこいい紳士ですが、
中身が望月刑事なので、
話すといつもの一生さんではなくちょっとおちょぼ口の第3の人格です。
このドラマで一生さんが作り上げたキャラクターは見た目が柔らかく声が少し高い、
なんとも言えず愛らしい存在ですが、
持ち前の正義感と手柄上げたい根性は相変わらずです。
この回では日高の会社がネガティブキャンペーンにさらされてしまったのをなんとか解決しようと躍起になっています。
殺人犯の会社だからどうなってもいいとは考えず、
社員を守らなくてはという、
ここでも正義感からの思いが手に取るようにわかります。
高橋一生「天国と地獄」第5話 見方になってくれる人がもう一人
元々の望月刑事の同居人がひょんなことから、実は望月刑事とは知らずに日高を訪ねます。
後ろから呼び止められた日高はすぐに同居人の声とわかります。
懐かしく聞き覚えのある声に気づいた日高は、
驚きと嬉しさを抑えてゆっくり振り返り、
「どうして来てくれたの、わたしなんだけど」
と言いたくてたまらない表情でその同居人を見つめました。
二人でカフェで向かい合って座っている時も、
もじもじし、手を膝の上で重ね肩をすぼめている華奢な姿は第3の人格の日高そのものです。
その同居人が入れ替わったことに気づいてくれて、
二人で居酒屋で飲むシーンは圧巻です。
同居人の
「刑事に戻ってほしいんだよ、
絶対逃げない、失敗してもめげない、
俺にはそんな生き方絶対できないから、
二人分の人生を生きているみたいだったんだよ、
俺、手伝うから」
という言葉を聞いて、
瞳全体が真っ赤になり涙で光った目で同居人を見つめながら、
「そんな風に思ってくれてたんだ、ありがとう」
という気持ちがこみあげてくるのがひしひしと感じます。
そして、入れ替わってしまった事をどうすることも出来ないもどかしさと悔しさで一杯の日高は、
同居人が理解してくれたことで、とてもほっとした表情になります。
大きくみひらいた瞳の中の黒目、
眉毛の位置や表情筋、
首の傾け具合、歩き方、スマホを持つ時の腕の曲げ方など、
全てが一生さんではなく中身が望月刑事の日高です。
髪型などで柔らかい感じは出していますが、
普段、男性役を演じているときは唇は薄く見えますが望月刑事役のときは唇をぷっくりさせているのが特徴です。
見た目男性で中身が女性役という、
とても複雑なお芝居をここまで自然に見せてくれる俳優は稀有な存在です。